自費出版
“私は書籍を出版しているわけですが、一般書籍版元の中にあって特徴的なことは「地図」をその主軸に据えているということでしょう。そうして、その地図も世界地図や日本列島図などではなくて、地域の基本資料、つまり縮尺の大きな地図がメインで(ということは、逆に本の売れる範囲=市場を狭くしているわけで、経営的には大変不利なのですが)、地図はあくまで「場所と記憶」のための「ベース」と考えています。
さらに、そうした地図を「地図」のかたちそのまま(枚葉)に復刊するのではなく、書籍形式にに収めようとするのにはわけがあります。書籍は「記憶」のための一形式だと位置づけているからです。「本」は記録=記憶のために、私が今日敢えて選びとる、ひとつの形式なのです。(本文「地図と記憶」より)”