自費出版
“図書館で働いていると、保存か廃棄かという二つの判断の間で迷うことがあるでしょう。私はかねてから、もうひとつの考え方があってもいい、と思っていました。それは、第二線書架を作って、どうしようかと思う本をそこに置くのです。そしてしばらくの保留期間の問に、その本の中になお生きている部分はないかどうかを調べます。たとえば図版や写真、肖像、統計、短い叙述などで、切り抜き資料とするもはないか、と考えるためです。
一冊の本を廃棄するのはやむを得ないとしても、その中の役に立つものは図書館に残すのだ、という図書館員としての強い意志を持ちたいということです。そういう意志と、そういう部分を見つける目を持つことは、資料選択に役立つとともに、30年後に対応する力になるのではないでしょうか。”